株式会社幕張テクノガーデン 代表取締役 藤田 武 氏 | 幕張新都心 MICE・IRを考える

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株式会社幕張テクノガーデン 代表取締役 藤田 武 氏

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新日鉄時代から幕張の開発に携わり、幕張の全てを見続けてきた藤田氏が考える、これからの幕張のあるべき姿と、IRがもたらす発展と課題についてお話を伺った。

 

「幕張」との長い付き合い

 

元々新日鉄の出身だったこともあり、幕張の開発には発足当初から色々な形で関わってきました。ベイタウンの建設は三菱地所と新日鉄でグループを組んで開発を行ないましたし、コストコ誘致には、私も直接関わりました。

 

また幕張メッセの立ち上げには、当時の新日鉄会長であった斉藤英四郎が大きく関わっていた経緯もあり、メッセさんのやりたいことには協力していこうという思いがありました。今回、幕張へのIR誘致の動きのなかで、メッセの中村さんからもお声かけがあり、参加したというのが経緯です。

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今の幕張に足りないもの、それは・・・

 

街の開発に携わり、幕張の街が紆余曲折をしながら発展してきたのを見てきました。ただ、残念なのは、いつまで経っても人工的な街であるということです。どこか作られた街という雰囲気が否めない。街全体に「潤い」が欲しいと感じています。

 

 例えば、水辺がありながら、それを活用できていない。街に砂浜があるのに、全く活用していないのはもったいない。せっかくの立地をいかした街づくりをするべきだと思います。また、幕張の居酒屋は大手チェーン店がほとんどです。地主がサラリーマンなので、大手企業との契約のほうが安心感があるためです。おかみさんの手料理で一杯。そんな店があれば、心にも潤いが生まれるんですがね。清潔であるという意味で子供のいるお母さんたちには好評ですが、サラリーマンにとってはちょっと淋しいですね。

幕張開発の現状とは?

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幕張の都市開発はそれなりに良い形で進んでいます。おかげさまでテクノガーデンもオフィスの入居率は9割を超えていますし、周辺のビルも同様に高い入居率を得ています。開発当初は大手企業も多く入っていましたが、最近では地元系企業が多くなってきました。街としての安定性は高まったのではないかと思います。

 

 ただ、市外、県外から来た人がお金を落とす場所がまだまだ少ない。幕張メッセやマリンスタジアムを訪れても、帰りに寄れる場所がない。「東京に戻ってから飲もうか」となってしまいます。これでは街は発展していきません。

期待大!起爆剤としてのIR誘致

 

 幕張の今後を思うとき、この街に賑わい、発展をさらなる形でもたらしたいという思いがありました。そこへちょうどIRの話が沸き上がってきたわけです。
 未来の幕張にとって、海辺の活性化、開発は重要なキーになると感じています。IR誘致がうまくいけば、その起爆剤になるはずです。IR誘致に関しては、民間企業からも街の賑わいが増して良いという意見もあり、期待感があるのです。

 

 また、海浜幕張は県内からのアクセスが意外と不便で、近くて遠いエリア。IR誘致によって、交通インフラが整備されれば、この問題点も解消されるでしょう。インフラ整理で現実的なのは、今注目を集めているLRT(次世代型路面電車)の敷設でしょうね。

 

私たち「MICE・IRを考える会」の役割とは

 

IR誘致については法律や条例が関わってきますので、行政が主導で行なわなければ進みません。私たち民間は、その応援団という役回りでしかありません。行政には、県市が一体となって招致に動いて欲しいという要望を出しています。県内に数カ所の候補地がありますが、1カ所に絞り、「やる」という意思を明確に打ち出す時期に来ていると思います。市長と知事のリーダーシップに期待したいですね。

 

 もちろん、市が動くためには民間からの盛り上がりも必要です。ですから「MICE・IRを考える会」は民間団体として、市民勉強会などの活動を通して、MICE・IRの必要性を広く知って頂きたいと思っています。

 

IR誘致を実現するための土地的課題

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現在IR用地として、幕張メッセの駐車場や幕張海浜公園が候補にあがっています。ただ、メッセは将来の拡張用地として残して駐車場はおきたいという意見もあり、住宅地にも近いので条件的には厳しいかもしれません。また、公園は設置できるものが法律で決まっていますから、クリアすべき問題も少なくありません。

 

 また、海にメガフロートを建設する案も出ていますが、クリアすべきハードルが多く、時間が掛かりすぎる(20年?)のが難点でしょうね。まず千葉県港湾計画を変更しなければなりませんが、このためには県港湾審議会および国の交通政策審議会の議決を経る必要があります。このためには、それ相応の大義名分が必要となりますが、IRがそれに当たるかどうか?
また、公有水面を専有することになるため、県の埋立免許も必要となりますが、このためには、環境アセスメントを行い、海の生態系への影響を2年程度かけて調査する必要があります。さらに漁業者への事業補償なども考えなければなりません。

 

 現実的にはどこが用地として相応しいかと考えれば、県が所有し、県・市ともに承認が得られる場所であれば実現可能だと思います。もちろん、設置場所に関しては行政、県市が選定することになります。また、IRを運営するオペレーターがどこを希望するかによって決定されるでしょう。

 

なぜ幕張が適切か? 千葉市がアピールすべきポイント

 

 成田空港、羽田空港からそれぞれバスで約30分というアクセスの良さは幕張ならでは。海外からの観光客を集めるには好立地です。また、幕張にはイオンモールや幕張メッセがありますから、MICE・IRの基盤はすでに揃っているのです。国は最終的には全国で12カ所程度のIR設置を計画しているようです。東京湾岸一帯として開発し、東京都とも連携してMICE・IRを招致するのが実現の近道かもしれませんね。

プロフィール 藤田 武 氏

新日本製鐵株式会社および株式会社新日鉄都市開発を経て株式会社幕張テクノガーデン代表取締役社長に就任。(同社は、千葉県が幕張新都心を計画するにあたり、1986年に、同県からの要請を踏まえ、同県となじみの深い大手会社17社が共同で設立したもの)。
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