株式会社 フォルム 代表取締役社長 松本 有 氏 | 幕張新都心 MICE・IRを考える会

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株式会社 フォルム 代表取締役社長 松本 有 氏

「幕張新都心MICE・IR基本構想」の中に込められた、
 未来に対する思いとは

 


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2011年よりスタートした幕張IR誘致活動の流れを受け、2014年4月に設立された「一般財団法人ちばの未来」。活動の中心人物でもあり、幕張IR誘致活動のきっかけを生んだ人物のひとりでもある、「株式会社フォルム」代表取締役社長 松本 有氏に、「幕張新都心MICE・IR基本構想」の企画書にかける話をうかがった。

ちばの未来の会社案内のように

IR誘致活動の企画書である「幕張新都心MICE・IR基本構想」はIRの事業内容への理解を深めてもらい、出資や賛同する人を増やす目的で2018年12月より制作を開始しました。事業内容だけでなく、どんな人が幕張IR誘致活動を進めているかを記載し、「ちばの未来」の会社案内と企画書を目的として作成しております。

賛同される方の中には、「中小企業では社会的なブランドがないのではないか」と気にしている方も多いです。企業のブランドではなく地元企業が連携しているということが重要だと考えています。大企業は資本力がありますが、大切なのは地元の未来、千葉県全域について考えていける気持ちだと思います。
今日までIRへの理解を深めていただく活動を続けてきましたが、書面として残し、初めて見た方でも理解していただけることを前提として、「IRとは」を説明しています。

重要なのは「幕張IRは何もないところから始めること」

幕張は元々の土地に手を加えたことで美しい街に変わりました。海や周辺環境にも恵まれ、首都圏という位置的な利点もあり、元々の恵まれた環境を活かしたIRが作れるでしょう。
さまざまな年齢層の人が総合的に文化的要素を作り上げる上で、幕張は豊富なメリットを持っています。
幕張は海路や2つの国際空港と30~40分圏内にあるという交通アクセスの良さや地の利にも恵まれています。海路については、東京湾上では現在、主要な場所が横浜港しかありません。私たちはそれを変えていきたい気持ちがあります。冒頭の導入ページは、「これから変わる、これから始まる」という気持ちを込めた、一番大切なページだといえるでしょう。

千葉と似たシンガポールとの比較も

IRの概要ページには、ラスベガスやシンガポールなどの有名なカジノをパターンごとに掲載しています。幕張IRは、シンガポールをモデルケースとして考えられました。シンガポールは広さや人口、海を使ったIRと千葉県と共通点が多く、しかも、千葉はシンガポールにない自然の景観を持っているというのも特徴のひとつです。

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地の利をアピールして集客を促すページ

幕張の交通アクセスが良いところをうたっているページも設けてあります。関東圏内では各地域ですでに交通網が成立していますが、足りない部分はまだまだあります。幕張IRでは、無料のバスを運行するなどで、外国人観光客も含めた周辺地域以外の人でもアクセスしやすい工夫を入れ込むことも計画しています。
IRでは海外のお客様からのカジノの収益が必須となります。カジノは開業したら確立できる保証された事業体であることも記載しました。千葉県は中堅クラスの国ほどの経済力はすでにありますので、日本の観光力をあげる目的でもIRは重要であるとも説明しています。

法律は必要に応じて作られる

IR計画の場所の説明では、カジノの部分を含め、何をどこに作るかを解説しています。幕張IR構想の重要なポイントであるメガフロートにも触れています。
海の上なのでメガフロートは法律的な観点でどうなるか、また土地と海は所有者が千葉市だけでなく県や国の場合であることもポイントです。現状、メガフロートに関する法律は存在しませんが、国全体としてプラスになるのなら法律は速いスピードで作られるはずです。それには、千葉の私たちがどうやって動くかが重要となります。

心理的な安心感のために生まれたメガフロート

住居地であるベイタウンがすぐ近くにあるため、ベイタウンの近くにIRを作る計画を打ち出せば、反発が起きやすくなります。幕張IR誘致には、地域の住民と企業の合意があってこそ成り立つものだと思っています。
物理的に距離が近いと、セキュリティ面などで「安心」といわれても不安が生じてしまいます。実は8年前からメガフロートは居住地と距離をとって、市民への心理的な安心感を与えるために生まれたアイディアなのです。訪問者によっては海の上という非日常感が出せる、大きな面積を技術力で確保できる、ランドマークとして活かせる、日本の製鉄などの技術が生かせるなど多くの相乗効果が見込めます。

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埋め立てでも土地は作れますが、環境をすごく変えてしまうことになる反面、メガフロートは環境への負荷が少なく、環境保全の上でもメリットは大きいでしょう。色々な意味でメリットがあるメガフロートに、陸上との様々な物が集約されていて、相乗効果が得られるのがIRなのです。
「今ある幕張メッセの駐車場を使えばいいのでは」という意見もありますが、これでは千葉に特化していません。千葉だからできる、「千葉らしさ」がどうやって出せるかという点でも、海上に作れるメガフロートは千葉の独自性も表現が可能です。

IRの内部構造にも、「幕張だからできること」を盛り込む

IR誘致には国際展示場や会議場の面積の要求があるため、地域によってできるところとできないところがあります。世界のIRでも展示場があるところは多いですが、展示場を設置したものの、きちんと運営や維持ができているところはわずかです。一方で幕張にはすでに幕張メッセがあるので、国際展示場の観点でもクリアになっています。
フロート内のスィートルームのホテルやカジノ、クルーズ船の停泊についてのページも設けてあります。首都圏の主要港である横浜は、ベイブリッジの関係で7万~9万トンクラスの客船しか入れません。メガフロートを有した幕張なら15万~20万トンクラスの客船もつけられるようになります。飛行機はもちろん、船でも来られるのでより多くの人が受け入れられます。
他にもスポーツなどの文化的な要素を入れたグラウンドエリアなどのクリエイティエリアを備えています。世界に誇れる日本のアニメを集合させるエリアなど、千葉らしさをエンターテイメントとして出せるクリエイティブセンターは重要な設備といえるでしょう。

オーストリアの文化芸術都市として知られているリンツでは毎年9月に世界最大級のアートとメディアの祭典「アルスエレクトロニカ」が開催されていますが、これには戦後何もなくなったリンツの街をどのような風にしていこうかという考えが根本にあります。オーストリアには音楽を含んだ総合的なアートがあります。30~40年前当時は、コンピューターのシンセサイザーなどが出てきたので、元々あったアートとエレクトリックを融合させ、リンツは文化芸術都市としての発展を遂げることになります。
「アルスエレクトロニカ」には、日本からもNTTやトヨタ、NHKなどが出ています。社会に対して提案できるものができるのではないかということで、個人と企業が集約して表現できる場所として作られたのが始まりです。さまざまなアーティストの発表や提案で、世界に発信でき、世界の企業も個人も、ここに来れば単なる発信ではなく社会に実装できる魅力的なポイントがあります。
リンツに足を運べば、ほかに個人や企業が開発しているものが見えたり、それぞれのコミュニケーションも発展したりします。子供たちも文化芸術をいつでも間近に見ることができる文化的要素の中で育つので、次世代へも良い影響があります。
カジノがなくても、千葉は日本の中心を集約できるエリアです。ぜひIRでもクリエイティブセンターを作りたいと考えています。幕張も、アジアの中で色々な人が集まる中で、ヨーロッパとは違うものが生まれるのではないかと考えています。

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リンツに足を運べば、ほかに個人や企業が開発しているものが見えたり、それぞれのコミュニケーションも発展したりします。子供たちも文化芸術をいつでも間近に見ることができる文化的要素の中で育つので、次世代へも良い影響があります。
カジノがなくても、千葉は日本の中心を集約できるエリアです。ぜひIRでもクリエイティブセンターを作りたいと考えています。幕張も、アジアの中で色々な人が集まる中で、ヨーロッパとは違うものが生まれるのではないかと考えています。
個人も大企業も垣根がない、試行錯誤をしながら色々な物を生み出していく場は、想像教育のすべてを含んだものが生まれます。様々な人が集まりますので、IRはカジノで人間の欲という本質を埋めるだけでなく、創造という人間の本質的な物も満たせる場所になるのではないでしょうか。
他にも、色々なイベントや年一回のお祭、授賞式などをIRで行います。お祭やイベントは単発的なものですが、IRではいつでも何かのイベントやお祭が稼働している状態です。
新しいコミュニケーションやビジネスが生まれるチャンスがあり、今までは芸術は芸術、テクノロジーはテクノロジーと分けられていましたが、今後はリンツのように、融合したうえで新しい仕組みを作るのことが求められています。

事業計画書は3000ページのボリューム

幕張がIR候補地として千葉の中で選ばれた後は、市と共同で推進し国に提出して全国の人に選ばれることになります。その際の事業計画書は3000ページものボリュームになり、事細かい項目ごとでそれぞれ採算が取れるのかを記載しなければいけません。
例えばレストランを作るとしてもレストランの投資状況、お客様のスペース、調理場、メニュー開発、人材などひとつひとつを掘り下げなければいけません。IRに関する項目はレストランやホテルなど多岐にわたり、それぞれで項目が細分化されるため、事業計画書のボリュームも多くなるのです。

千葉県全域の中でさまざまなインフラを作っていく

IRができれば、カジノの収益のみでメガフロートやインフラなどの費用も回収できます。カジノで収益を上げて他は赤字でも問題がないと言ってもいいかもしれません。ただし、最初のそれぞれの投資額は高額となります。ホテルなど、IRで作りかけの部分がある場合は魅力が半減してしまうので、100%完成形でスタートさせなければいけません。
交通インフラを整備する場合、理想を実現しようとすると投資額が多くなります。一方でIRの場合は最終的な効果を狙っての大きな投資、さらにカジノの収益体制が整っているので投資をしても怖くありません。IRを含めてどんなに魅力的なところでも場所が不便なら人が集まりません。人に来てもらうことが前提ですので、交通インフラへの投資は重要といえるでしょう。

幕張は地域から生み出す街づくりを目指す

「幕張IR誘致は、市民や中小企業といった地域から生まれてきたこと」を特に強調しています。IR誘致について、他の地域では大企業や経済団体がきっかけとなっていますが、幕張は地域から誘致活動のきっかけが生まれています。
幕張は地元企業経営者であり、市民である私たちが「幕張ってこのままでいいの?じゃあどうすればいいか」という気持ちがIR誘致活動きっかけになりました。その根底には50年後、100年後に対応できる幕張の街づくりをしたいからです。

街は常に変化し、完成形がありません。よって経済やクリエイティブを生み出すしくみをつくるべきです。幕張を含めて現在の日本は、人口が多い状態を前提とした街ができています。よって、生み出す仕組みがないと消耗し、今後ゴーストタウンになりかねません。
日本には観光資源はたくさんあるので、それを磨き上げることが仕組み作りには重要です。生み出す仕組みを作れば、今の豊かさを次の世代へ引き継いでいくこともできるでしょう。
IRは経済とクリエイティブを生み出す仕組みです。仕組みを作るにはある程度スペースがないとできませんが、千葉はまだ手をつけていないスペースがたくさんあるので、IRに適しているといえるでしょう。

千葉だからできる独自性、ひとりひとりが気持ちを持って作り上げていくことが重要であると企画書を通じて伝えたいです。IRは事業としては膨大であり、単純な形でできるものではありません。企画書を作るのが目的ではなく、誰に見てもらい、理解してもらうかが重要だと考えています。

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プロフィール
松本 有(まつもと たもつ) (株)フォルム 代表取締役社長 
「幕張新都心MICE・IR推進を考える会」共同発起人
「特許庁/特許等取得活用支援マネジメント強化事業」委員
「ベンチャー・カップCHIBA」副審査委員長
「千葉県オリパラ情報共有・意見交換会」メンバー
JIDA(社団法人日本インダストリアルデザイナー協会)会員
IR*ゲーミング学会会員
日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師
東北工業大学ライフデザイン学部兼任講師
放送大学非常勤講師
Gマーク・IF universal design・reddot・IDEA等多数受賞

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