株式会社フォルム 代表取締役 松本 有 氏 | 幕張新都心 MICE・IRを考える会

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株式会社フォルム 代表取締役 松本 有 氏

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プロダクトデザインを中心に、国内外で様々な活躍をしておられる松本氏。デザインコンペティション等の審査委員を勤められ、ご自身も数々の賞を受賞してきた設計・デザインのプロフェッショナルに、現在の幕張を活性化させる起爆剤としての「IR」の立ち位置についてお話を伺った。

 

 

カジノを建てることが真の目的ではない

 

MICE・IR推進というのは、元々カジノを誘致したいということで始まった訳ではありません。地域の活性化のために何をしたら良いのだろうというところから発想が始まったのです。IRは必要条件のひとつ。IRの中でカジノがあることで大きな投資が見込めます。投資を必要としているのが自治体であり、地域なのです。それによって大きく地域が、千葉が変わっていくというのが出発点としてあります。   公共的なものの開発は初期に大きな投資をしないと効果が現れません。その後も維持費用がかかり続ける。一番問題なのはそれに見合う収益がないことです。例えば、学校は社会にとってとても大事なものですが、収益が上がるものではありません。増やせば増やすほど、国や地域にとって負担が大きい。それをどこで補うかと考えれば、税収を増やさなければならない。今までの体制、税収に頼っていてはこれからの地域、国はやっていけないのは目に見えています。継続的な収益体制を整えたい。その収益体制をIRを核としてはどうかというのが3年前の出発時点から重要なポイントでした。

 

 

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今、幕張の環境は「もったいない」だらけ

 

幕張にはこれだけの海、砂浜があり、景観資源があるのに全然何も手をつけていない。公園があっても手を入れていないので、密林のような状態です。それでは住んでいる人にとっても公園があるメリットが享受できません。マリンスタジアムがあってもそこに行くまでの道のりに何もなく、海があっても海を感じられない。商業的にもあまりうまくいっていないような話も聞こえてくるのは「もったいない」と感じます。せっかく幕張メッセにきても、その周辺が魅力ある地域になっていないために滞在型のMICEになっていない。アフターコンベンションのできる場所もない。これも「もったいない」ですよね。周辺環境を整えることは魅力あるMICE施設への絶対条件になります。   人を動かすのは「魅力」です。幕張は魅力の要素は持っている。あとは準備をすることだと思います。千葉は穏やかな東京湾に広がる海岸線、首都圏が遠くに見えて富士山も見える。そこに夕日が映り込むという情景は動かし得ない千葉県の魅力です。魅力の素地がこんなにあるのだから活用しない手はないと思います。

 

 

街に発展をもたらす!交通インフラ整備

 

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IR開発とあわせて交通インフラの整備も必須になるでしょうね。交通のありかたひとつで街が発展したり衰退したりという事例は、海外を含め多く見てきました。ヨーロッパでもLRTの導入で街を蘇らせた例はあります。東京オリンピックが決まり、IR導入も2020年がひとつの目処になるでしょう。LRTを走らせるためのロードマップを考えるとスケジュール的にはギリギリのタイミングですね。もうすぐにでも走り出したいところです。ただ、それは自治体がやることなので、私たちはそれを後押したいと思います。

 

 

日本ならではの技術を活かす!エコな浮島「メガフロート」

 

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海浜幕張公園の先の湾内に浮島を構築し、そこにIR施設を建設するという「メガフロート構想」を提案しています。このパースが最終形態でなくても、IR誘致のイメージを明確にするためにひとつの形を呈示できれば良いと思っています。もちろん、このデザインは夢物語ではなく、技術に乗っ取ってデザインを引いています。漁業権のことなども調査をして、一番実現に近いと思われる案になっています。   住宅地から離れた湾上に構築することで交通も限られ、人の流れも限定されます。セキュリティー面も担保できるメガフロート構想は、一般市民の方にとって心理的、物理的にストレスが少ない案だと思います。また、千葉の未来的な部分を考えたとき、科学都市としての先端を目指す千葉市にとって、先進的な取り組みをしていくことが発展につながります。また、メガフロートの中に統合型リゾートをつくりあげることで、観光客にとって非日常の空間を提供できます。   また、IR導入のために必要な面積を、短期間で安く用意できるのもメガフロートのメリットです。海上の設備構築は、日本の海洋、造船技術だからこそできることです。また、東京湾内にフロートをつくることで、大型クルーザーを横付けできます。7〜10万トン級のクルーザーであれば、5000人単位の乗船客を一気に上陸させられる。これはメガフロートだからこそできること。海外からの集客にも新しい道筋ができるのでは、と期待しています。

 

 

誘致成功がゴールじゃない。

 

自治体として構想がない状態でオペレーターに任せたIR運営は絶対失敗する。計画性がないと成功はしないでしょう。日本では実際に経験のないことなので、しっかりと計画をたてて、IRだけではなく周辺環境も含めての開発を考えていかなければならないと思います。市民はもちろん企業も含め、感情論ではなく、メリットがあることを理解して頂き、しっかりと了承を得ることが大切だと思います。

 

 

プロフィール

松本 有 氏
(株)フォルム 代表取締役社長、可能貿易(上海)有限公司
常務副総経理、総合デザイン開発を行い国内外で活躍中。
ものづくり大賞審査委員、EU-Japan Design Competition審査委員、東北工業大学デザイン工学科兼任講師、日本大学芸術学部兼任講師。JIDA(社団法人日本インダストリアルデザイナー協会)会員、財団法人日本産業デザイン振興会会員、日本デザイン学会会員、日本人間工学会会員、Gマーク、IF universal、reddot、IDEA等多数受賞。
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