参議院議員 猪口 邦子 氏 | 幕張新都心 MICE・IRを考える会

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参議院議員 猪口 邦子 氏

「千葉の未来を考える女性の会」

 
 
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千葉県市川市出身の参議院議員として活躍されている猪口邦子氏。国際的な知見を活かした幅広い活動をしているだけでなく、小泉政権時代には少子化担当大臣を担い、女性の社会進出や少子化にも明るい。千葉の未来には女性の力を含めた多様性が重要。千葉の未来がどうすれば元気になるかをうかがった。
 

今の時代に合わせたサポートを行うことが千葉市発展の鍵

千葉市が発展するには、東京の隣接地帯であることを活かして様々なサポートを担っていくことに、勝機があるのではないかと思います。
例えば、千葉の高度成長期は東京へのベッドタウンとして発展しました。さらに、すぐれた才能を持つ人材を千葉から輩出し、東京に送り出す人材面でのサポートも行いました。千葉が東京をサポートすることで、日本の高度成長期には重要な役割を担いつつ、千葉の発展も達成しています。
今後、千葉市が発展するには、時代の流れに応じた東京へのサポートが必須になります。今の時代の中でサポートが必要となるのは、子育てや高齢者福祉、雇用の分野です。
経済特区であることを活かして、子育てしやすい、雇用しやすい、100歳まで生きる時代の高齢者をささえるといったサポートを行うこと、これが千葉市の発展につながると考えます。
さらに、少子化対策に加えて、高齢福祉の面での取り組みが必要です。
今、高齢者と呼ばれる世代の人は、かつて才能を発揮してきた人たちです。これらの優れた人材を、上手に受け入れて活用できる取り組みを作れば、千葉市は理想的な未来の街として輝ける可能性があります。
そして、IRも千葉市が理想の未来都市となる可能性を持っています。
IRには、カジノの要素もありますので、色々な意見もあるでしょう。事前にギャンブル依存などの対策も考えなければいけませんし、今後も多くの討論の機会が必要であり、成功させるためには、事前に依存を始めとした対策へ先手を打たなければなりません。
IRを含めて理想的な未来の街づくりを千葉市で行えば、世界的な理想の街のモデルとして、多くの人が千葉市に研究に訪れることが期待されます。
 
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千葉は東京にできないことができる街

千葉は、東京に隣接している都市ながらも、東京ではできないことをたくさん達成した街でもあります。
例えば、東京に近い立地を持ちながらも、平坦で広大な土地面積を持っているのが千葉の特徴であり、長所です。
これを活かして実現したのが千葉の「三角構想」です。成田空港、幕張メッセ、そして木更津にある、かずさアカデミアパークの3つの施設が千葉にそろっています。これはいずれも国際空港、コンベンションセンター、学術基盤の施設と国にとっては重要な役割を担っています。この3つを同時に誘致できるだけの平たい土地、そして東京に隣接した立地の両面を持っている千葉だからこそ実現できた構想です。
 

幕張メッセがコンベンションセンターとしてIRとしても活用される

幕張メッセは四半世紀前からコンベンションセンターとしての機能を担ってきました。
そして、私はカンファレンス・コンベンション&ビジターズ・ビューロー(※注釈)設置や誘致にも力を入れてきました。
カンファレンス・コンベンション&ビジターズ・ビューローにおける日本の取り組みは、急成長をしてきました。25年前には「誘致会議をする機能」の世界ランキングにおいて、日本は193か国中52位でした。そこから現在はなんと世界4位まで伸びているのです。アメリカ、フランス、イギリスに次ぐ順位で、アジアの国では第1位です。
 
25年間で52位から4位になるには、当然多くの努力があり、この背景には、25年前新卒だった人の人材育成の成功があります。現在40代でちょうど中堅を担う世代です。この世代が優秀な人材として育成されたからこその急成長と言えます。
さらに、ビューローに欠かせない民間ホテル機能の高さも、急成長の根本にあります。
特に日本の最大コンベンションセンターである、幕張メッセのコア機能を担うホテルは素晴らしいです。
コンベンションセンター周辺で十分な客室数を確保、さらにWi-Fiやブロードバンド環境も整っています。ホテルに帰ればすぐにネットを使って仕事できる環境は、コンベンションには欠かせない機能です。
ところが、これだけの機能を有していても千葉市はコンベンション・ビューロとしては日本で第3位です。
1位は東京、2位はパシフィコ横浜のある横浜です。
しかし、幕張メッセにはまだ可能性があります。ここから順位を奪還するのが目標であり、千葉市の発展につながると考えます。そのためには、幕張メッセのさらなる可能性を求めなければいけません。それがIRです。
IRとカンファレンス・コンベンション・ビューローとしての機能がセットでも、実は何の問題もありません。
日本全国にあるビューローには、国際会議を行っていない時にどう活用するかという問題を持っているところも多くあります。
 
また、2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックでは、日本全国で幕張メッセのみがパラリンピックで4種目招致できています。さらに、オリンピック正式種目となったサーフィンの開催地は、湘南ではなく一宮に決まりました。
幕張メッセや外房はオリンピック・パラリンピックで盛り上がるでしょう。成田空港から観戦客がアクセスするための、県央道の開発や空港からの便の増発も必要です。
これに加えて、千葉市が中心となって文化的、レジャー的な面を提供できれば素晴らしいですね。
※注釈:コンベンション&ビジターズ・ビューロー
自治体や民間企業が、国際会議などに出席するために日本を訪れる旅客のためにMICEなどを誘致する機関や事務局のこと。
通訳機能のための人材育成なども担っている。
https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/convention-visitor-bureau/

 
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草の根の安全保障を担う役割も千葉市は持っている

国際政治の本質とは、「どう戦争を防ぐのか」の一点が重要視されています。
2018年7月にEUと日本は経済連携協定を結びましたが、このとき戦略協定も一緒に結ぶように要求されています。これは平和のため、政治的にも両立場を平等に持っていくべきだからです。
国際会議でも観光目的でも、一度日本に来た外国人の方は、日本の本質を知ることになります。表面上のイメージだけでなく、日本に新しい感情を持ってくれます。
これは、草の根の安全保障につながるのです。
 
幕張メッセは、ビジネス上での国際会議や展覧会のほかにも、学術部門でのコンベンションも多く開かれています。
世界的な学問のコンベンションで論文を発表する、ということは一生に一度あるかないかです。その瞬間は、年齢も経歴も関係なく、その人は学問のある分野においてトップに立っていることになります。影響力の高い、波及効果のある人材が集まる素晴らしい場所が幕張メッセなのです。
幕張メッセを始め、千葉市全体でコンベンションもインバウンドの旅客も歓迎するようになれば、世界的な影響力も高くなり、経済的な波及効果が得られます。同時に、日本を訪れた外国人に日本に対しての新しい感情を持ってもらい、草の根の安全保障を担うこともできます。
 
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21世紀の民主主義とは「ダイバーシティ」

私が少子化大臣になったとき、当時の小泉総理から「キミは女子学生がどのくらい苦労しているか知っているだろう、その苦労がないようにしてほしい」と言われました。
実際に、私の持っていた大学のゼミでも、女子学生は全て総合職に就職したにもかかわらず、全員3年後には辞めてしまっていました。これは、当時結婚と家庭が両立できない時代だったためです。
さらに、当時は就職氷河期世代にあたり、非正規雇用で働き続ける人もいます。この人たちはまだ労働市場にカムバックできていません。
そこで、21世紀における民主主義とは、「デモクラシー」とともに「ダイバーシティ(多様性)」が重要であると言えます。
 
時代に合わせて民主主義で重視するべき内容も、軸も変わります。20世紀は知る権利だった民主主義が、21世紀は多様性が求められるようになったのです。
現在の民主主義の本質の軸から外れていないため、このまま多様性を持ち続けるのが、千葉市の発展には不可欠と言えます。
 
また、国連では15年計画で2000年にはMDG、2015年にはSDGを掲げています。
これは、「世界全体の乳幼児死亡率を半減する」「女子の小学校卒業率を倍にする」などの世界全体での目標が掲げられています。
このSDGを達成するための標語として、国連で掲げられたのが「誰一人取り残さない」です。
世界には色々な立場の人がいます。取り残されている人、取り残されそうな人にどうやって手を差し伸べるか、これこそが21世紀のダイバーシティを含めた民主主義の行動性であると言えます。
千葉市もインフラの開発、バリアフリーなど、「誰一人取り残さない」多様性のある取り組みを行えば、先進的なモデルシティとして発展していけると考えます。
 

先人の苦労には敬意を払うべき

日本は社会の形できると変化が速いです。かつて男女共同参画がスタートした時にも、今日の状態まで来るとは誰も思っていませんでした。
社会の変化が速いため、10年前と10年後では社会が違う、ということも珍しくありません。つまり、10歳年上の女性がした苦労を、その下の世代が知る機会もないのです。
私は、先人の苦労には敬意を払うべきと考えています。
例えば、私が少子化対策大臣だった時には「出産するときのお金がない」「異常妊娠が多い」という問題点がありました。
その後出産育児一時金を42万円にする、妊婦検診の12回分無料券を出すなどで、これらの問題は解決してきました。それ以前の女性が妊娠や出産で苦労をしてきたからこそ、社会の仕組みが新しく変わったのです。
 
社会の変革には先人の苦労があることを認めるべきだと考えています。
変化が速い社会であるのはすばらしいけれども、同じレベルを生きる女性の中で苦労のレベルが違うことを、次の世代は忘れずにいるべきです。
 

多様性を持った地域であるべき千葉市が発展するには

千葉市は多様性を持った地域であるべき、そして幕張メッセのコンベンション力を生かし、全ての人を包括する地域づくりが重要であるとお話しました。
千葉市は日本の中で何かを目指すのではなく、千葉市が世界でどのように目指すかが重要です。
千葉市の魅力のひとつは、巨大都市なのにコンパクトシティであることです。
千葉駅を降りると再開発が成功しており、東京と違って近い範囲で色々な機能があります。さらに総武線で成田と東京駅にアクセスが良いので世界に直接つながっている街でもあります。
自然面での魅力も豊富です。千葉県全体の雄大な世界水準の大自然に加え、利根川水系、手賀沼水系の水利にも恵まれています。さらに北総の古墳群からは大和朝廷に似たような古代文明があったことも分かっています。千葉に生まれ育った人は、歴史が深いところの末裔でもあるのです。
 
多くの魅力を持つ千葉市がもっと発展するには、教育機関を充実させることと、スターアタック企業が育ちやすい環境を整えるのが良いと考えます。
新規企業で、大手企業をおびやかすほどの成長をする可能性のある企業をスターアタック企業といいますが、日本にはスターアタック企業が育つ土壌がまだ十分ではありません。
自分の才能や能力を活かして起業したい、と思ったら利用できるコワーキングスペースを千葉市に多く設置するのが有効でしょう。
コワーキングスペースは、会員ならセミナーも可能な巨大な共有スペース、商談や研究の打ち合わせができる個室、自分用の2~3畳のキューブオフィスがそろっています。
日本にもコワーキングスペースは増えてきましたが、海外では設備に加えて、片手で食べられるメニューの注文、電話やレターヘッド印刷などの機能も備えています。
千葉市は東京へもアクセスしやすい便利な立地にあるので、コワーキングスペースを作って集積効果を狙うのも有効です。
コワーキングスペースの開発は、アメリカでは不動産のシェア率も高いですし、スターアタック企業がたくさん増えれば、経済の活性化にもつながります。
 
 
プロフィール
猪口 邦子(いのぐち くにこ)
千葉県市川市生まれ、上智大学卒業。
米国エール大学へ留学、博士号を取得。
上智大学教授、ジュネーブ軍縮大使を経て2005年より国会議員として国政に携わる。
2005~2006年の小泉政権下では少子化大臣を担当。
現在も国際的な知見を活かした幅広い活動をする参議院議員。

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